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報奨と秩序

“汚職”“偽装”という言葉が頻繁に登場する。

成果主義は、目標管理が中心となる。目標(ノルマ)達成が評価対象であるから、結果こそすべてといってもよい。最終結果が金であるのであれば、限りない人間の欲望に火をつけ、競い合い奪い合いが社会を席巻する。

「利益」が目標であれば、目標を最短最大で達成する手段の「偽装」は、ある意味善である。

「厚生年金保険料収納率アップ」が目標であれば、それを達成する手段の「標準報酬月額改ざん」もある意味善である。

“報奨”が目先の利益(金品)だと醜い事態が発生する。社会の秩序が崩壊する方向だ。

逆に社会の秩序が形成、構築されるための“報奨”はあるのか。あるとしたらどのようなものなのか。

私は、『安定保障』がキーワードだと思う。

一つの都市国家にすぎなかったローマが一大帝国を築いた要因の一つに、「ローマ市民権」という“報奨”があった。兵役25年を務めあげると兵士とその家族は、公衆浴場、下水道、闘技場などの施設を備えた都市で生活をする権利を得る。征服された国の民がローマ帝国の戦士として、自分と家族のために生活の安定保障を求めて戦ったわけである。

“秩序”が形成され、国が発展したよい例だと思う。

日本においても独特の労働慣行の形成過程に、「雇用と収入の安定」という“報奨”があった。1921年、当時官営工場であった日本鋼管の年次報告書に、初めて「従業員」という言葉が使われた。

当時の労働者は、人工・職工などと言われ一段低く見られていた。都市部の貧困層の多くの人たちであるが、勤労意識は低く生産性は上がらなかった。

日本鋼管で、一生懸命働いた人は来年も雇用する、そしてたとえわずかでも給金を上げるという労務管理法を採用した。するとチンタラしていた従業員がガラッと変わり、頑張って働くようになった。工場の生産性もぐ~んと上がり、早速他の官営工場のみならず、民間企業も“報奨”として雇用の保障、年功賃金制度を取り入れた。私は、これが日本独特の終身雇用制及び年功序列制の始まりと解釈している。

人々が生活の安定保証を求めて働き、“秩序”が形作られ国が発展したわけだ。

現在の行き過ぎた経済至上主義は間違いであるとする意見が聞かれる。基本的に私は賛成だ。

しかし、反対だけでは意味がない。新しい仕組みシステムを考え生み出す必要がある。

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